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5:May Plecia [1/2]
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報告(5) May Plecia
性別:女 年齢:30歳 血液型:A
職業:米政府情報管理局局員
住所:ワシントンD.C.
誕生年月日:1963年9月9日
被験者は11月15日にワシントン国際空港で身柄を拘束され、
11月17日に当研究所に輸送された。
その詳細は……
最高国家機密を盗み出すこと。メイとその娘が生き残る道はそれ以外になかった。たとえそれがどんなに困難でも。
ある日プレシア家に来た謎の電話。
「娘を殺されたくなければ言う通りにしろ」
メイはいたずら電話だと思って切った。
翌日。
「ルー君が急にぱぁんって……!」
娘のぬいぐるみの肩がえぐれた。傷口から硝煙の臭いがした。
その晩、また電話が来た。
「お前のすべきことを伝える」
メイには逆らうことができなかった。
「プレシア君、残業かね?」
「はい、少しだけ……」
「そうか。娘さんの所、早く帰ってやれよ」
情報管理局局長の声を背にメイは仕事を続けた。オフィスのドアが閉まる。誰も、……機械以外に、誰もいなくなる。
彼女の手は黙々とデータを探していた。
――「軍事部門のファイルだ。パスワードは……」
どうして電話の主はそんなことまでも知っているのだろう。全く得体の知れない影が、今も側にいる。彼女は平常心を繕いながら震える手でパスワードを打ち込んだ。
[passward:Ionice]
現れたメッセージに思わず鳥肌が立った。
《機密レベルAAA》
――最高国家機密。自分は今大犯罪に手を着けようとしているのだ。だが、それは引き下がれない事情のため。
「ステラ、あなたを守るためなの。母さんを許してね……」
メイは言い聞かせるように呟くとパスワードを入力し、データをコピーし始めた。
「二枚のディスクをチップに変えろ」
電話は低いトーンでそう指示してきた。
「どうしたらいいのか分からないわ」
メイの手には二枚のディスクが握られている。自宅のパソコンでさらにコピーしたのが一枚。たった一枚コピーするのに恐ろしく時間がかかった。
「今からある人物の住所を教える。ディスクを二枚共郵送しろ。お前にはチップが一つ返ってくるはずだ」
彼女は言われるがまま住所をメモに写した。
「お前はチップを持ってアメリカを出ろ。切符は後日送る」
「ちょ、ちょっと待って!」
メイは何の配慮もない脅迫相手に向かってわめいた。
「今の生活を捨てろって言うの?」
「お前に反抗する権利は与えられていない。嫌なら娘と死ね」
電話はそこで切れた。彼女は断線した音を聞きながら失意に暮れた。
「……どうして私だけが、こんな目に遭わなきゃいけないの……?」
メモの字が虚しく残っている。
……「お母さーん、ただいま」
娘が小学校から帰ってきた。小学校もやめさせなければならなかった。
メイのもとに二通の手紙が届いた。二通とも差出人は不明。一方には十一月十五日付けのフランス行きの切符が二枚。もう一方には……黒い小さなチップが一つと、ワープロで書かれた一通の手紙が入っていた。
――「もしかしたらあなたに疑いがかかっているかもしれない。検査の際、あなたがチップを持っていてはいけない。その時だけ娘に持たせるように」
そしてメイのもとにまた電話がかかってきた。
「フランスに着いたら空港の三五六五番のコインロッカーにチップを入れろ。鍵を持って待合所に行け。そこで会った人間に鍵を渡せばお前の仕事は終わりだ」
「それで娘の命は助かるのね?」
「そうだ、必ず遂行しろ」
そこで電話は切れた。
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