Disk1
1:Lio Beacious [2/2]
その夜、待ち合わせ場所には誰も来なかった。リオは三時間ほど待っていたのに、誰も来なかった。
仲間たちを待ちながら周りを眺めて、リオはだんだん怖くなってきた。あまりに静かすぎる。いつもならいるはずのストリート・キッズたちは、姿を消していた。
「……ただ、消えていく」
ターナーさんの言葉が頭をよぎる。街から消えた子どもたち。誰が、いつ、どこで、何のために……人を信じない少年たちをどうやって消していったのか、全く分からない。それどころか誘拐があったということすら人々は気づいていない。そして、たとえ自分が消えたとしても……気づく者は、きっといない。
どんなにイキがっても、少年は、不安に襲われればすぐ分かる。リオ自身も例外ではなかった。足首を闇に掴まれそうになる。止まっていられない。止まったら、闇に呑まれる。
足は追われるように孤児院の方へ走り出していた。誰もいない真っ暗な通りの中を、夢中で駆けていた。閉じられている孤児院。リオはその門をばんばんと叩き、叫ぶ。
「ターナーさん、開けてくれ!」
孤児院の門は開かない。それでも叫び続けていると、横から何かの光が彼を照らした。
「おい、何をしている?」
リオが光の向こうを見ると、そこには中年の大きな図体をした警官がいた。反射的に逃げ出しそうになった。が……警察なら、身の安全だけは確保できるかもしれない。
「おっさん、俺の話を聞いてくれよ!」
警官は無表情でリオを見ている。ここは彼の良心に賭けるしかない。リオは真剣なまなざしで彼を見上げた。
「誰かが俺の仲間たちをさらっちまったんだ! みんな、みんな消えちまって……詳しい話は後でするから、俺を警察署へ連れてってくれ!」
薄汚れた子どもの、嘘臭い話。警官はしばらく黙っていたがうなずいてくれた。
「わかった。こっちへ来い」
リオはほっとして警官の方へ歩み寄った。警官は彼が側に来ると、同じように無表情で呟いた。
とても小さな呟き。意味も、わからなかった。
「お前は消された」
彼は警官の後ろ手を疑うべきだった。あっというまに布が口を覆い、クロロホルムの甘さがたちこめる。
こうしてまた一人、少年が消えた。
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